骨盤矯正

骨盤は身体の土台ともいわれ、さまざまな役割を担っています。

●骨盤の構造

骨盤は、寛骨（腸骨・坐骨・恥骨）・仙骨・尾骨の3つの骨で構成されています。
骨盤のうち、寛骨はもっとも大きな骨ですが、16～17歳頃までは、軟骨による結合であり、成人になるとひとつの骨として形成されます。

 

●骨盤の主な役割

骨盤には、さまざまな筋肉や靱帯が付着して、身体を支える機能があります。
骨盤があるおかげで人間は二足歩行が可能であり、立った状態や座った状態で、身体を安定させることができるといわれています。
骨盤のおもな役割は、次のようなものが挙げられます。

・上半身を支える
・下半身の動きをサポートする
・内臓を保護する

骨盤は、股関節・大腿骨とつながるため、歩行時に大きな役割を担っています。
たとえば、地面を踏んだ際の衝撃を吸収し、負担をかけずに上半身を支えています。
骨盤がゆがんでしまうと、左右の脚を均等に出すことができず、片方の脚に負担を与えてしまうため、骨盤を正しい位置にしておくことが重要といわれています。

 

●内臓や生殖器の保護

骨盤の中には、内臓や生殖器が存在します。
膀胱・尿道・直腸・肛門のほかに、男性では精嚢・精巣・前立腺、女性では卵巣・子宮・卵管・膣といった数多くの臓器が、骨盤によって守られています。

しかし、骨盤がゆがんでしまうと、臓器が正しい位置関係を保てず、機能低下や生理不順といった不調を起こす原因になるといわれています。
このように、骨盤は身体の中心で全身を支え、健康的な生活を送るための重要な役割を担っていることがわかります。

骨盤のゆがみは、日常生活のさまざまな原因によって起こり、ゆがみが起こると痛みや不調が現れるといわれています。

●骨盤がゆがむ原因

骨盤がゆがむ原因には、次のような例が挙げられます。

・不良姿勢
・筋力低下
・偏った使い方

普段の姿勢が悪い方は、骨盤がゆがみやすいといわれています。
また、デスクワークや立ち仕事など、長時間、同じ姿勢で作業を行う方は、疲労によって不良姿勢になりやすく、骨盤のゆがみを生じる可能性があります。

また、長時間座りっぱなしで作業を行う方は、運動不足となり、筋力低下につながります。
筋力低下を起こすことで良姿勢を保ちにくく、その結果、不良姿勢となり、骨盤のゆがみを生じると考えられています。

一方、次のような身体の使い方をしている方は、筋肉の硬さが偏り、ゆがみのリスクがあります。

・足を組んで座る
・足を崩して横座りをする
・片肘をついて横になる

偏った身体の使い方をすると、負担がかかりやすい部位の筋肉が硬くなり、身体のバランスが崩れる可能性があります。

 

●骨盤がゆがむことでみられる症状

骨盤のゆがみによって、次のような症状がみられることがあります。

・筋肉のこりや痛み
・身体の動かしづらさ
・冷えやむくみ

骨盤がゆがむことで、特定の部位に負担がかかりやすく、筋肉の緊張を起こすことがあります。
筋肉の緊張により、肩こり・腰痛や、手足の冷えやむくみといった身体の不調を引き起こしやすいと考えられています。

慢性的な肩こりや腰痛に悩まされている方は、骨盤のゆがみによって、首や腰に負担がかかっていることが多い傾向にあります。
日常生活の習慣によって、骨盤のゆがみは誰にでも起こるため、少しでも身体に負担をかけない生活を心がけることが大切です。

骨盤矯正を行う際、次のような施術を行っていきます。

●グリット線

実際に、骨盤矯正を行うためには、骨盤や脊椎にどれくらいのゆがみが生じているのかを確認する必要があります。
そのため、ゆがみを正確に把握するために、グリット線を用いた方法で骨盤のゆがみをチェックします。

グリット線とは、写真撮影の際に使われる手法であり、専用のアプリを使用することで体型や姿勢の崩れを調べます。
身体の正面や横向きの姿勢を撮影し、グリット線（水平線）を基準にどれほどのゆがみを生じているかを確認します。

 

●可動域測定器

可動域測定器とは、関節の可動域を測定する機材であり、正常な関節可動域と比較して、動きの良し悪しを確認する目的で使用されます。
可動域が低下している関節を見つけ出し、矯正を行うことで可動域の改善を目指します。
骨盤のゆがみが起こると筋肉は緊張し、関節可動域の低下がみられるケースが多いため、左右差をなくし、動きを改善することが大切です。

 

●トムソンベッド

実際に、骨盤矯正を行う際は、トムソンベッドと呼ばれる骨盤矯正専用の施術ベッドを使用します。
トムソンベッドは、アメリカで開発された骨盤矯正専用のベッドです。
このベッドを使用する施術では、患者様の体重がおもな負荷となるため、身体に負担をかけず、骨盤矯正を行うことができるといわれています。

トムソンベッドでは、次のような施術を行うことができます。

・骨盤矯正
・股関節の矯正
・肩関節の矯正
・首（頸椎）の矯正
・筋肉の緊張緩和
・脚長差（脚の長さ）の調整

トムソンベッドは、各部位のドロップ（落ち込む）を利用して矯正を行います。
施術者はベッドを調節し、軽い圧を加えることで、患者様の体重を利用し、ドロップさせます。

患者様自身の体重を利用する施術なため、痛みをともなうことは少ないといわれています。
産後の骨盤矯正を行えるほか、子どもから高齢者の方まで、幅広い年齢の方に対して、施術を行うことが可能と考えられています。

骨盤矯正では、次のような症状を改善することが期待できます。

●不良姿勢の改善

骨盤矯正を行うことで、骨盤を本来の正しい位置へと近づけ、不良姿勢を改善することが期待できます。
骨盤のゆがみによって、背骨のゆがみや筋肉の緊張が起こりやすくなりますが、骨盤が正しい状態になると身体の負担の軽減が見込めます。
また、産後の体型の崩れも、骨盤のゆがみを矯正することで改善につながります。

女性は、妊娠・出産により骨盤がゆがみ、出産後もゆがみが治らず、腰痛や股関節痛などの症状に悩まされることがあります。
骨盤のゆがみを矯正し、出産後にみられる症状を改善するためにも、骨盤矯正はおすすめです。

 

●肩こり・腰痛改善

骨盤矯正を行うことで、慢性的な肩こり・腰痛を改善へと導く効果が期待できます。
骨盤や背骨のゆがみを改善することで、筋肉にかかる負担を減らし、緊張を緩和するといわれています。
筋肉の緊張による血行不良を防ぎ、痛みを生じにくくなることにつながります。

慢性的な肩こり・腰痛に悩まされている方は、骨盤や背骨にゆがみを生じている方が多い傾向にあります。
とくに、デスクワークをされる方は、一日中、座ったままで作業を行うことが多いため、肩こりや腰痛を引き起こしやすいといわれています。
しかし、ゆがみを矯正することで、姿勢が改善され、身体の痛みや不調が起きにくい身体づくりが期待できます。

 

●身体に起こるメリット

骨盤矯正を行うことで、姿勢や痛みの改善のほかにも、いくつかメリットがあると考えられています。

・痩せやすい身体になる
・体調がよくなる
・ケガをしにくくなる

骨盤が正しい位置にあると、身体への負担がかかりにくくなるため、不調が起こりにくくなるといわれています。
また、内臓機能や循環面でも良い影響を受けるため、太りにくく、痩せやすい身体になることが期待できます。
そのため、女性にとっては、美容の面でも大きなメリットとなるのではないでしょうか。